うつ病の犬

もうずいぶん昔の出来事ですが・・
私のセミナーに40代のご婦人に連れられた生後8ヵ月の黒いラブラドールが
来てくれました。
最近では、ラブラドールは、ほとんど見かけなくなりましたが、
陽気で人見知りをしない性格で私の愛犬ジルとコマジもラブラドールです。

でも、連れてこられた黒ラブちゃんは、尻尾が垂れて、下を向いて、
誰とも目を合わそうとしません。
頭には、小さな円形脱毛(ハゲ)が3つもできています。
部屋の隅でうずくまり、ボールを見せても、おやつを見せても無表情で無反応!

ネクラな犬ですね!とも言えないので、こういう場合は
「おとなしいワンちゃんですね。」と便利な言葉を使います

ご婦人は心配そうな視線を愛犬に注ぎながら・・
「呼んでも来ません!ご飯も食べません!心配で獣医さんに診てもらうと
うつ病と診断され精神安定剤を飲ませましたが、犬がふらつくので止めました。」
ご婦人の言葉と態度から愛犬のラブちゃんを助けたい気持ちが伝わります。

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「犬のうつ病」など、それまで扱ったことがなく、対処方法も知らなかったので、
私には無理!と目で訴えたんですが・・
ご婦人も犬も下を向いたままで、私の視線に気づきません。

覚悟を決めてカウンセリングを始めると子犬期発達過程に問題があることが判明しました。

人間の子供も、犬の子供も、乳幼児期は親との愛着(アタッチメント)が必要です。
愛着(アタッチメント)が深いほど愛情の絆は深まるからです。

アメリカの心理学者メアリー・エンスワースは、3つの愛着行動を提唱しました。
1 回避型
母親が子どもから離れた場合も後を追ったり、泣いたりしない。
母親が戻ってきても接近しようとしない。
2 安定型
母親が子どもから離れると、後を追ったり泣いたりする。その後、母親が戻ってくると再会を喜びすぐに情緒不安から回復する。         
アンビバレント
母親と一緒にいると離れない。離れると混乱する。母親が戻っても
情緒不安から回復せず、母親に敵意、拒否することがある。

4 無秩序、無方向型
最近注目された新しいタイプの愛着行動
虐待や行動抑制が原因で子供の表情に不自然さや脅えた様子などの症状が表れる

ご婦人から黒ラブちゃんの子犬の頃からの接し方を聞くと、
愛犬を賢い犬に育てるため書店で一冊の本を購入してトレーニングを始めました。
しかし、異物を飲みこむ危険を恐れて、おもちゃや物を咥えると叱りました。
日常生活も病気やけがをさせないように過度の行動抑制をしていました。
黒ラブちゃんからすれば、何をしても「ダメ」と叱られるため・・
何もできなくなって無気力になった訳です。

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原因は、4の無秩序、無方向型タイプに該当するため、改善方法を提示してセミナーに
通っていただくと、1週間もしないうちに黒ラブちゃんは、本来の元気で明るいラブラドールに戻り円形脱毛(ハゲ)もなくなりました。

独学で学ぶことは素晴らしいことです。
しかし、「過ぎたるは、なお及ばざるが如し」今回のご婦人と黒ラブちゃんのように、
未知の分野では遠回りとなり、危険な状態を招くことがあって弊害となりかねません。
ノウハウを持つプロに相談する選択肢をお持ちください。

余談ですが・・最近になり久保田学院長の髪に変化が起こっています。
本人はストレスからくる脱毛症と言っていますが、
どう見ても成長過程による自然な現象としか見えません!
もしストレスであれば、私の髪も時間の問題です・・・。
手遅れにならない内にどなたかアドバイスをお願いします(笑)

感謝
Wiz.dog Club本部長 島本洋介